広大な中国のおへそに位置する四川省の森はタケを主食とするジャイアントパンダの棲息地として有名です。そればかりでなく中国はタケノコ生産、タケパルプからの紙やイオン液体を使った新再生繊維グラセル(Gracell)繊維の製造、竹炭、織物製品、工芸品、竹材パネル、フローリングそして家具など様々な製品をつくりだしています。まさに竹の王国なのです。日本で消費するタケノコの75%、竹炭の95%、パネル等の90%が中国からきています。(FAOSTAT、財務省貿易統計及び農水省特殊林産物生産統計から産出)
2005年には、世界に3,700万haの竹林があります(INBAR及びFAO「世界の竹資源」2005年報告書)。中国の竹林面積はインド、ブラジルについで世界第3位で日本の四国と九州全域面積とほぼ等しい545万haの竹林が、主に長江(揚子江)以南の地域に分布しています。タケノコ生産及び種々のタケ製品製造の中心地のひとつの浙江省杭州市の市街地に中国国務院の直属機関としての国家林業草原局の「竹子研究開発センター」が置かれ、竹林の管理及び様々な製品の開発を行っています。
国家林業草原局は日本の林野庁あたる政府機関ですが、その前身(2017年まで)は国家林業局でした。国家林業局の前局長は、木質構造研究の研究者の江沢慧氏(2017年まで)でしたが、彼女は中国の元国家主席江沢民氏の妹です。
タケに関する国連の補助機関の一つで、環境保全と竹と藤(ラタン:中国語では「籐」)の公正な貿易による貧困の削減に努めている政府間組織としてINBAR (国際竹及び籐ネットワーク:The International Network for Bamboo and Rattan)があります。INBARは本部を北京に置き、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの世界46か国が加盟していますが、何故か日本と韓国は参加していません。
2018年6月、北京の国立コンベンションセンターでINBARの総会ともいえる「世界竹及び籐会議」(BARC)が開催され、日本及び韓国からも研究者が招待されました。INBARメンバー国以外の米国、ドイツなども含め40数か国から約1,400人が参加し、国連SDGs及び気候変動への竹及びラタンの役割について意見交換しました。