魅惑の熱帯果実3:アテモヤとドラゴンフルーツ

タイのマーケットのアテモヤ

 カスタードアップルと呼ばれている、熟れると甘く、ジェリー状に近い、とろける様な食感の熱帯果実アテモヤ(Atemoya、学名:Annona atemoya) を賞味された方はそれほど多くないと思います。アテモヤは、熱帯アメリカを原産とするシュガーアップル(A. squamosa)とチェリモヤ(A. cherimola)を交配して作られた果実です。

アテモヤの樹

 アテモヤは 1 本の樹で年に 75~200 個(16~ 68kg)の果実を生産しますが、残念ながら世界的な生産統計が見つかりません。農林水産省の統計によれば、2015 年国内では沖縄県及び鹿児島県で 38 ㌧生産されているにすぎません。輸入統計もありません。しかしインターネット上には通販価格が見られますが、1kg(果実 4~8 個に相当します)あたり 2,500~3,500 円もする高級果実になっています。3 年ほど前に、かつて生活していたオーストラリアのメルボルンを再訪し、マーケットを見てみましたが、大きめの果実 1 個で 140 円ほどでした。

アテモヤの甘く柔らかな果肉

 なお、つくば市にある国立研究開発法人国際農林水産業研究センター(国際農研:JIRCAS) では毎年 4 月中旬に開かれる公開日に、沖縄県石垣市にある支所で育てたアテモヤを無料の試食に提供しています。ご賞味あれ。

ドラゴンフルーツ

 国内でもアテモヤよりは手に入りやすい果実にドラゴンフルーツがあります。ドラゴンフ ルーツ(dragon  fruit、又はピタヤ:pitaya)は、サボテン科ヒモサボテン属のサンカクサボテン(Hylocereus undatus)等の果実で、中南米の熱帯雨林が原産地とされています。果肉の色は白色のもの、赤色のもの、黄色のものなどがあり、それぞれ別種になっています。白色のものの甘みは淡白で、酸味がありますが、赤色は甘みが幾分強いようです。

ホテルの庭に育つドラゴンフルーツ
(東チモール)

 世界的な生産統計は見当たりません。日本では  2002年ごろから沖縄で生産されはじめ年産 200 ㌧程度です。財務省貿易統計(HS081090290)を見ますと日本は毎年 1,500~2,000 ㌧をベトナム(72%)、アメリカ(21%)、フィリピンなどから輸入単価 260~320 円/kg で輸入しています。なお、ベトナムでのドラゴンフルーツの市場価格は、1kg あたり 50 円程度とのことです。

(飯山賢治)