マレーシア:天然ゴム廃材が高級家具に

飯山賢治(故人)(非木材グリーン協会 前会長)

マレーシアの天然ゴム生産量は、2017年でこそ74万㌧(世界の5.2%)で世界6位ですが、1989年までは世界最大の生産国で142万㌧(世界の27.5%)生産していました。ゴムのプランテーションからラテックス(ゴムの原料となる樹液)の採集に便利なように、比較的狭い樹間でゴム樹(Hevea brasiliensis)が植栽されています。植栽後5年目から15~20年間ラテックスを生産しますが、その後、プランテーションを更新するために樹を切り倒しています。

かつては、密植されていたので口径の大きな材が得られないこと、材に樹液が残っていて製材すると樹液によって材が汚れること、そして残っている樹液があるため、十分に乾燥できず、製造した材が変形したり、割れが入ることもあるということで、材として利用するのではなく、主に燃料として使われてきていました。もったいない話です。

近年、大きな圧力タンクのなかで、120℃の高圧水蒸気でプレス処理することで、上述の問題点を解決することができるようになりました。これは日本の大学と企業の共同研究でかいはつされた技術です。高温の水蒸気で樹液を抽出除去するとともに、熱圧することで引き続く加工段階での変形を防ぐことで、明るくきめが細かく、しかも重量感の材にすることができます。

マレーシアの西海岸は海上交通の要衝として知られているマラッカ海峡ですが、この海峡に面したムラカに日本の家具製造会社の現地法人のゴム廃材からの製材工場があります。この工場で製材された材は、主に白木の高級家具用材として、主に日本に輸出されています。マレーシアではフタバガキの仲間など、熱帯材については厳しい輸出規制がありますが、このゴム廃材の製品の輸出は問題ないようです。残念ながら、日本のゴム廃材の輸入量については特定できませんでした。