非木材グリーン協会に関連するバイオマス関連の国際認証をみると、バイオマス基準、バイオ燃料基準、パーム油基準、チョコレート基準、林業及び伐採基準、木製品規準、環境基準などが関連しているが、この中でも代表的なバイオマス関連認証機関や環境関連認証機関は、1.RSPO、2.RSB、3.PEFC,4.ISCC,5.FSC,6.SBP、7.GGL、8.BONSUCRO、9.Bluesign、10. GOTS、11. RA、12. RTRS Certified Soyなどである。それぞれの概要についてみると、以下のようにまとめられる。
1.RSPO(Roundtable on Sustainable Palm oil)
森林破壊などの悪影響を最小限にしながら、持続可能なパーム油のための認証スキームを開発・運用する。
・GHG算定と節減を考慮に入れることが可能。
・認証範囲は、パーム油だけ。
・RSPO認証スキームは、生産量増大による生産国の環境や近隣コミュニティへの影響・負荷の軽減を図り、持続可能なパーム油製品の生産、購買、利用の推進を目的としている。
・認証は、「原則と規準(P&C:Principles and Criteria)認証」に基づき持続可能な生産を示すP&C認証と、認証原料がすべてのサプライチェーンで確実な受け渡しシステムが構築されていることを示すSCCS認証(サプライチェーン認証:Supply Chain Certification System認証)の2種類があり、認証を取得し、認証パーム油を利用した商品には、RSPOのロゴマークを添付し、消費者にアピールすることができる。
2.RSB(Round Table for Sustainable Biomas)
持続可能なバイオ燃料に関する円卓会議(RSB)は、持続可能なバイオ燃料生産を保証するための社会・環境的要件の普及を行い、スイス連邦工科大学ローザンヌ校の呼びかけで組織された。
・燃料生産者、バイオ燃料生産企業、輸送関連企業、NGO、政府機関等の組織がメンバー。
・2009年、「持続可能なバイオ燃料生産のためのグローバルな原則および基準(ver.1)」を発表。規格の内容を実施し、基準を満足するバイオ燃料事業者に認証書を交付する。
・RSB規格は、収穫条件、地理的条件、バイオ燃料生産などの原則・基準からなる。
・バイオ燃料生産の原則・基準(ver.2)は、適法性、計画策定、モニタリング、継続的改善、温室効果ガス排出(GHG算定)、人権および労働者の権利、農村・社会の開発、地方での食料安全保障、生態系保全、廃棄物管理等を評価する。
3.PEFC(Programme for the Endorsement of Forest Certification Schemes)
森林及び木材製品が責任ある持続可能な方法で管理されていることを保証する認証。
・全世界の森林面積の約10%がFSCとPEFCで認証されているが需要に追いついていない状況。
4.ISCC(International Sustainability & Carbon Certification)
追跡可能で森林破壊のないサプライチェーンのための持続可能な方策等を提供する認証。
・一般的にバイオ燃料に使用される。
・ISCC EUはGHG算定と節減を考慮に入れるが、ISCCプラスではそれらが要求されない。
・様々な認証スキームを承認。
5.FSC(Forest Stewardship Council)
FSC(森林管理協議会)は、国際的な森林認証制度を実施する第三者機関であり、木材を生産する世界の森林と、その森林で伐採された木材の流通や加工のプロセスを認証する国際機関。
・CoC(Chain of Custody Certification)認証は生産・加工・流通に関する認証。
・森林管理の認証は FM(Forest Management)認証。 認証は、森林の環境保全に配慮し、地域社会の利益にかない、経済的にも継続可能な形で生産された木材に与えられる。
・FSCは認証審査を直接実施せず、FSCに認定された認証機関が審査を行う形態をとる。
・ロゴマークの付いた製品の流通により、世界の森林保全へ向けて、森林管理者から、木材・木材製品の消費者に至るさまざまな関係者を一体化しようとする。
・バイマスに特化した認証はSBPとGGLである。
6.SBP(Sustainable Biomas Program)
法的及び持続可能な木質バイオマス調達の基準で、2013年に IWPB(Initiative of Wood Pellet Buyers)より持続可能性基準を含んだバイオマス取引基準の策定を引き継ぎ、2015年にSBPFramework1.0版を発表した。
・認証取得企業が製造、取引、使用する木質バイオマスが、持続可能に管理された森林に由来することを証明。さらに、2019年、オランダのSDE+(Stimulering Duurzame Energieproductie:再生可能エネルギー向け補助促進制度)バイオマス分類1~5の要求事項を満たしている。
・産業用大規模エネルギーに利用される木質バイオマスの認証が可能となった。
・森林の持続あるいは増加、生物多様性の保全、高い保護価値の森林保護を含んだ森林を対象にして取り組む38の持続可能性指標を開発。
・製造業者から最終消費者までのカーボンデータを提供。
・FSC、PFFC、SFIのいずれかのCoC認証を並行して取得する必要がある。
7.GGL(Green Gold Label)
持続可能なバイオエネルギーの製造、加工、輸送、最終利用までを網羅し、独自の追跡・記録を担保する認証。
・2002年に発足し、最も長い歴史があるバイマススキームの一つで、オランダ政府により設定された持続可能な要求事項を規定し、SDE+要求事項と密接に連携することを目的としている。
・サプライチャーンの過程により基準が異なる(GGL1:CoCと加工、GGL2:農業、GGL5:森林管理、GGL6:電力会社)。
8.BONSUCRO( Better Sugar Cane Initiative : BSI)
BSIは、今後のさとうきび産業の発展(社会的・環境 的・経済的な持続可能性の改善)への寄与を目的とした非営利組織。さとうきび産業に関わる川上から川下の関係者から構成され,評価指標を作成し、その認証を行うという仕組みを作っている。
・BONSUCROにおけるさとうきび産業の発展に対する原則は、①法令遵守、 ②人間の権利と労働規範、 ③持続性を高めるための投入・生産・効率的処理の管理、④生物多様性や生態系への配慮、⑤持続的な改良。
・指標に対して農家や製糖企業が認証を受け、それを遵守して生産される砂糖が認証される。
9.Bluesign (Bluesign technologies AG)
The bluesign® standardは、環境・健康・安全 (EHS:Environmental, Safety and Health)の全ての面において解答を提供すべく設計された業界標準で、関係者が連帯して環境への負荷を削減し、健全で責任ある繊維業界を育てていくために、原材料供給メーカーから、繊維メーカー、小売企業、アパレルブランドまでが関連付けられていること。
・繊維メーカー、生産拠点、ケミカルサプライヤー、 標準物質に関しての基準を備える。
・繊維メーカー向け基準を構成する分野は、資源生産性、消費者の安全性、大気放出、排水、職場環境(安全衛生)など。
・加盟企業は、対象項目に同意した上、中間報告を提出しながら性能改善に努める。Bluesign technologiesでは定期監査を実施する。
- GOTS (The International Working Group on Global Organic Textile Standard)
オーガニック・テキスタイルの世界基準。
・オーガニック・テキスタイルについて、原料の収穫から最終製品までの製造加工工程に明確な要件を設定し、トレーサビリティの確保、ケミカルの使用について禁止と制限の規定、社会的規範などを含み、認証は2005年から、使用を許可された認証機関によって開始され、GOTSのロゴマークが導入された。
・GOTSの認証は、基準に従って製品の製造加工・輸出入事業者が、GOTSの認証機関に申し出て、年1回の現場検査を受け、残留物試験を通ると付与される。
・認証機関の認証範囲: ①機械的な繊維加工及び製造業務や自社製品の認証(範囲1)、②湿式処理と仕上げ加工とその製品の認証(範囲2)、③取引業務および関連製品の認証(範囲3) - RA(Rainforest Alliance Certified)
レインフォレスト・アライアンス(RA)は、国際的な環境保護団体。
・世界各地の農業、林業、観光業の専門家と協力し、水、土壌、野生生物の生息地、森林の生態系を保護する方法を開発。
・農林業事業者による持続可能な方法の採用促進のため、第三者による認証プログラムを利用。
・国際的な環境保護団体が共同で設立したサステナブル・アグリカルチャー・ネットワーク(SAN:Sustainable Agriculture Network)による基準(SANの10原理: ①管理システム、②生態系保全、③野生生物保護、④水質保全、⑤労働条件、⑥労働安全衛生、⑦地域社会との関係、⑧総合的な収穫管理、⑨土壌保全、⑩総合的な廃棄物管理)に基づき、農園の監査を認証団体が実施して、認証を与える。
・RAは、林業事業者向けに森林管理協議会(FSC)の森林管理認証機関としても活動を実施。 - RTRS Certified Soy(Round Table on Responsible Soy Association)
2006年設立された「責任ある大豆に関する円卓会議(RTRS)」は、大豆の生産と生態系の保全の両立や生産国の社会への寄与を目的としたルール作りに取り組む国際機関で、大豆の持続可能な生産を推進するための原則を定め、その遵守を推進している。生産者を含めた関係者との協力と対話を通じて、経済的に実現可能で、社会的に有益で、環境的に適切な責任ある大豆生産を目指している。
・参加者は、大豆の生産者、NGO、小売業者、金融関係者等であり、政府組織や監査法人はオブザーバーとして参加している。
・認証は、生産者、流通業者、規模などによって異なる基準があり、責任ある生産に関する基準を遵守して生産された大豆や大豆製品に付与される。
以上のように、バイオマス関連の国際認証は数多くあり、互いに関連しているものや単独のもの。さらに、各国で個別なものなど多彩である。例えば、バイオ燃料認証においては、①各種の認証スキームがあり、どのスキームを取得する必要があるのかが明確ではない。②国によって要求条件が異なるため、複数の認証スキームを取得する必要があり、運用面及び経済面で負担がかかる。③サプライチェーン全体におけるGHG削減効果が明確ではないなどの問題がある。
国際認証に関しては、個々の認証の詳細を見れば問題点も多々あることから目的に応じて取得することが肝要となろう。