【記事紹介】「COP26は問題を解決していない」:科学者たちが国連の気候変動対策に反発

 去る10月31日から11月13日まで英国スコットランドの中心都市グラスゴーで国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が開催されました。会合には各国の政府関係者だけでなく、NGO関係者など参加登録IDを得たのは40,000人近くになるという、気候変動COPでは最大の参加者になりました。関係閣僚、首脳などの会合を経て、2050年までに世界の二酸化炭素排出量を実質ゼロにし、2030年までに2010年比で約45%削減することを条約の公式な文書の中に反映することになりました。この目標を実現するために、よく話題にされるように石炭火力を「縮減」し再生エネルギーの拡大や自動車のEV化の推進が盛り込まれました。
 ところで、COPでの「合意」では「先進国」と「開発途上国」の区分が問題化されますが、経済発展段階だけでなく、各国の気候区分による配慮無しには実現が困難な状況が生まれることについて、十分に配慮されていないと言わざるを得ません。COPを主導している先進国の多くはいわゆる「地中海式気候、西海岸性の気候」に区分され、降水量が比較的少ない(年500~700mm)ですが、東および東南アジアはモンスーン気候で降水量が多く(年1,400~2,000mm)、太陽光発電に欠かせない日照時間がそもそも異なります。風力にしても年中安定した西風を得られる地域と、ときおり暴風雨に襲われる地域での風力発電の普及に違いが出てきます。今後、原子力の利用のあり方と共に、地域性も考慮したきめの細かい検討を期待したいと思います。

Nature, Volume 599, Issue 7885 (18 Nov 2021)
News: ”COP26 hasn’t solved the problem’: scientists react to UN climate deal’
The Glasgow Climate Pact is a step forward, researchers say, but efforts to decarbonize are not enough to limit global temperature rises to 2 °C.
https://www.nature.com/nature/volumes/599/issues/7885