世界的な新型コロナウイルスは、我々の生活等を含め社会や経済などあらゆる方面にその影響を及ぼしています。このような状況下、SDGsやESGなどの言葉が脚光を浴びていますが、これらの用語の意味や関連が分かり難いとのご意見も多いようです。そこでこれらの用語の意味と関連についてまとめてみました。
地球温暖化や異常気象現象などの環境問題の顕在化などが基で、2006年に国連が「国連責任投資原則(PRI:United Nations Principles for Responsible Investment(UNPRI:国連責任投資原則))」を提唱し、投資を通して解決すべき課題をEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の3つの分野に整理されました(総称してESGと呼ぶ)。なお、ESGの投資を行う主体は「投資家(金融機関等)」と「企業」です。
SDGsは、2015年に国連が採択した持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)のことで、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されている2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標で、実施主体は「各国」で最近の様々なブームの根底にある概念です。
持続可能な開発目標(SDGs)とは、以下に示す17のゴールとそれを具体化した169のターゲット、さらにその下にある232の指標から構成され、発展途上国のみならず、先進国自身が取り組む普遍的なものです。
1.貧困をなくそう 10.人や国の不平等をなくそう
2.飢餓をゼロに 11.住み続けられるまちづくりを
3.すべての人に健康と福祉を 12.つくる責任、つかう責任
4.質の高い教育をみんなに 13.気候変動に具体的な対策を
5.ジェンダー平等を実現しよう 14.海の豊かさを守ろう
6.安全な水とトイレを世界中に 15.陸の豊かさも守ろう
7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに 16.平和と公正をすべての人に
8.働きがいも、経済成長も 17.パートナーシップで目標を達成しよう
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
ESGは、上述したPRIに基づき整理され、右表に示すような企業の具体的な取り組みが想定され、これらの取り組みを投資家が評価して、投資する企業を選ぶことになります。なお、この前提として、企業には社会に対して責任を果たし、価値を提供すべきという考え方(社会的責任CSR:Corporate Social Responsibility)が適用されます。具体的には、倫理的な行動の遵守、積極的な環境対策や障害者の雇用、貧困撲滅支援等といった貢献が期待されています。一方、投資家に対しては、経済的・金銭的な利益を期待するだけでなく、企業が社会や環境へ貢献できるような企業の社会的責任(CSR)を考慮して投資行動を行うべきだという考え方(社会的責任投資SRI: Socially Responsible Investment)が適用されることになります。
以上のように、世界全体の目標となっているのがSDGsで、 企業、国(行政)など、世界中でSDGsの目標やターゲット等に向けて各種の活動が実施され、投資家は、企業のESG活動内容等を基に、支援(投資・融資)をするかどうかの判断を実施し始めています。コロナ禍収束後は、益々このような傾向が強まるのではないでしょうか。
佐藤雅俊