魅惑の熱帯果実5:ランブータン、ライチとロンガン

ランブータン

 大粒の巨峰よりさらに少々大きめで、赤い柔らかめの果皮にこれも赤く柔らかい毛が無数ついている果物ランブータン(Rambutan, Nephelium lappaceum)は、東南アジア原産のムクロジ科(Sapindaceae)の中型から大型の熱帯の果樹です。ムクロジ科には熱帯果実のライチ(Lychee、レイシ、Litchi chinensis)やロンガン(Longan、リュウガン、Dimocarpus longan)もあり、甘さやジューシーさなど風味はそれぞれ幾分違います。しかし、いずれの果実も一口で食べれる透明性のある少しプリプリ感の食味や構造はそれぞれよく似ています。これらはインドネシアなどのホームガーデンと呼ばれる民家に付属した庭で、自家消費果樹として広く植えられています。

ライチ

 実はどこを探してもランブータン等の世界の 生産量に関する統計値は見当たりませんでした。ただ、タイでのランブータン、ライチ及びロンガ ンの2011 年の生産量はそれぞれ307,000 ㌧、37,000㌧及び 772,000 ㌧であることが、日本の農水省平成 24 年度海外農業情報調査分析事業(アジア)に出ていました。ランブータンについていえば、世界最大の生産国はタイで、中国、インドネシア、マレーシアが次いでいるようです。

ロンガン

 ランブータンはライチ、パッションフルーツなどと併せて0810.90.210 というHSコード番号が割り振られており、それぞれを分けて議論することはできません。やむを得ませんので、財務省「貿易統計」でランブータンなどの輸入状況を検索しましたところ、日本は 2013 年ごろまでは年に 400 ㌧を輸入していましたが、その後減少して 2019 年の輸入量は 200 ㌧と半減しています。2019 年の輸入単価は 900 円/kg です。ランブータンの最大の産地はタイですが、タイでは多くが自国で消費されており、輸出量は限定されているようです。日本は、中国及び台湾からの輸入が90%を超えています。日本での通販価格は 1kg あたり 2,000~2,500 円ぐらいになっています。

(飯山賢治)