ジャックフルーツ(jack fruit)と呼ばれている、ドリアンの一回りも二回りも巨大で重さが30~40kgにもなる果実があります。ジャックフルーツはクワ科パンノキ属の常緑高木(Artocarpus heterophyllus, 波羅蜜とも呼ぶ)の果実で、東南アジア、南アジア、アフリカ、ブラジル、さらに中国南部、台湾南部で果樹などとして栽培されています。原産はインドからバングラデシュと考えられています。
果実はココヤシの繊維のような繊維で覆われていますが、その内側の大きな種の周りに黄色の果肉がついています。繊維の間から、実を取り出して果肉を食べるのですが、完熟したものは強い甘さとなんともいえない歯ごたえがあり、強烈なにおいもないこともあって、ドリアンより美味しいという人も多くいます。
オーストラリアのシドニー以北の街なかに15cmほどの大きさのたくさんの果実をつけた立派な樹形の高木を見かけます。 マンゴーの樹(Mangifera indica)です。原産地は南アジアと言われています。実はマンゴーはウルシ科の植物ですので、接触性皮膚炎(かぶれ)の原因となるウルシオールに似た物質が含まれています。アレルギー体質の方は気を付けてください。
FAOの統計資料では、世界のマンゴー、マンゴスチン、グアバの生産量がまとめて掲載されているので、マンゴーのみを詳しく把握することはできません。しかし、マンゴーの2018年の世界年間生産量は約4,300 万㌧と見積もられています。国別では、インドが約1,800万㌧(世界の約41%)で第一位です。日本の生産量は同じFAOの統計では3,300㌧で、財務省貿易統計では2019年には7,300㌧を単価 500円/kgでメキシコ、タイ、ペルー、台湾などから輸入しています。
日本では沖縄で主に露地栽培により全国の約半分の1,600 ㌧生産し、1kg(大玉で2個ほど)あたり3,000~5,000円で小売りされているようです。宮崎県及び鹿児島県ではそれぞれ1,100㌧及び600㌧を加温ハウス栽培して、6,000~12,000円/kgと輸入品価格とくらべて10~20倍となっています。マンゴーには数多くの品種がありますが、日本ではアーウィン 種が主流です。
20数年前になりますが、オーストラリアのメルボルンの市場では、1個100円もしない値段で完熟マンゴーを美味しく食べたのを思いだします。
(飯山賢治)